* エチオピア起源説。「ヤギ飼いカルディの話」―キリスト教国での伝説。
* アラビア起源説。「僧侶シェーク・オマールの話」―イスラム教国での伝説。
本日は、エチオピア起源説についてお話から。
「ヤギ飼いカルディの話」
6世紀のエチオピア高原が舞台です。
昔むかし、本当に昔の話です。アフリカのエチオピアという国に、
カルディというヤギ飼いの若者がいました。カルディの仕事は、
山の麓に生える草を、ヤギたちがムシャムシャ食べるのを、
どこかへ行ってしまわないように見守ることでした。
そこの山には、綺麗な小さくて白い花を咲かせる木がたくさん
はえていました。カルディがその花の香りを嗅いでみると、
まるでジャスミンのような快い香りがします。
その花はやがて緑色の実をつけ、その実はだんだん色が消えて
黄色くなりそして少しずつ赤味をおび、最後には真っ赤に染まります。
緑鮮やかな葉っぱと木の枝にビッシリとついた赤い実を眺めて
いるだけで気分が楽しくなります。

カルディはいつものようにヤギたちを連れ、山を散歩していると
ヤギたちがその赤い実をムシャムシャ食べ、楽しそうに
飛び跳ねています。いつもはヨボヨボのおじいさんのヤギまでが、
若い頃のように走り回っています。これはどうしたことだろう?
とカルディは思いました。
そして、よし!試しに自分も食べてみようと思い、その木から赤い実を
一粒採ってみました。そして恐る恐る口に入れて噛んでみると中から
甘い汁が出てきて、中には種も入っています。それもコリコリと
噛んでみました。するとどうでしょう、急に元気になり体が弾みます。
ヤギたちも元気に飛び跳ねています。
それ以来、カルディと山羊たちは毎日、その赤い実を食べては
踊りながら山々を散歩しました。
そんな姿を近くの修道院のお坊さんが見て、真似をしてその赤い実を
食べてみました。すると、疲れきった自分の体の中を爽快な気分が
走り抜けるのを感じました。それ以来そのお坊さんは、夜のお祈りで
眠い時にその実を煎じて飲んだということです。


